愛しい傷

また、夢にみた。覚めてみてあの満ち足りたときを思うと、今さらながらいたたまれない。雨が降って寒い。もう、寝ないと。



それはいとおしいきずであり、もりのおくのいずみのように、すべてのよきもののみなもとであり、いだきつつひたりたいすべてであり、なぞであり、こたえであり、きざしもないままもとめずにはいられないなにかを、すげなくすぎさるそのさきを、こうしてまたいたずらに、ゆめにみるのだろうか。