シャボン玉ホリデー

今日は故あって、朝から4時間ほど小っちゃい女の子を預かることになり、公園でシャボン玉をして滑り台やブランコで遊び、お弁当を食べ、図書館で絵本を読み、あっという間だった。


瞬間、かわゆい。innocenceとは、かくも強いものか…いや、俺はこの子の何でもないです、一応。


午後、mixiの「中上健次コミュ」でお知らせのあった、「『熊野大学』プレ・イベント 青山真治×中上紀×前田塁」に行く。at ABC青山ブックセンター


熊野大学」とは、和歌山県新宮市出身の芥川賞作家・中上健次によって1990年に設立された非公式の大学。「試験もない、校舎もない、校則もない、誰でもいつでも入学でき、卒業は死ぬとき」という、まあ、そんな感じの文化組織。


いや、別に俺がそれをgoodなものだと思ってるわけじゃないけど、中上健次は勿論ちょっと類例のない作家だし、これに毎年絡む面子がまた凄いから行ってきた。


客席の半分以上が若い女性なのがビックリした。それも文科系というかサブカル系というか、こう…原宿とか代官山とかってよりは、下北とか西荻とか、かろうじて三茶とか自由が丘、そんな感じと見た。


ステージ上、どこの不良オヤジかと思ったら青山真治だった。ゲストに渡部直己。この爺さんやっぱオーラがあるぜ。前田塁が「会場に円城塔さんが来ていまあす、ちょっと挙手して下さあい」とか言って、手を挙げたのは俺の隣でずっと居眠りしていた、妙に縦に長い黒ずくめの男だった。


中上紀は、綺麗というわけでは決してないけど、何かこう、妙な色気があって、さすが中上の血と、朝鮮と紀州の両半島のパトスを一身に集めた、そんな気がした。


たまにロラン・バルトとか浅田彰とか柄谷行人の名前が出るぐらいで、難しい文学論というよりも、スクリーンを使って写真を映し、ほぼ熊野について、そのトポスと、あるいはときに観光案内のようなものだった。「おお、あの川が『枯木灘』で秋幸が鮎をとった川か」「これが新宮駅か、昭和40年代そのままって感じだな」みたいな。


しかしアツそうだったな熊野大学。何か全体的に70年代の地方劇団みたいなノリだな。まあ、さすがにそこまで泥臭くはないだろうけど、渡部直己は冗談半分に、「参加すると偏差値が70ぐらい下がる」とか言ってた。どんなだよ。